てき

てき
I
てき
(連語)
〔完了の助動詞「つ」の連用形「て」に過去の助動詞「き」の付いたもの〕
過去に動作・作用の完了していることを表す。 …た。 …てしまった。

「思ひにし余りにしかばすべをなみ我は言ひ~き忌むべきものを/万葉2947」「うたたねに恋ひしき人を見てしより夢てふものはたのみそめ~き/古今(恋二)」「去年(コゾ)見~し秋の月夜は照らせども相見し妹はいや年離(サカ)る/万葉211」

II
てき【敵】
※一※ (名)
(1)あるものにとって, 共存しえない存在。 滅ぼさなければ自分の存在が危うくなるもの。 かたき。

「~の大将」「贅沢(ゼイタク)は~だ」

(2)対等に張り合う相手。 試合などの相手。

「向かう所~なし」「到底彼の~ではない」

(3)遊里で, 客が遊女を, また遊女が客をさす語。 相方(アイカタ)。

「重ねて逢ふ迄の日をいづれの~にも待ちかねさせ/浮世草子・一代男 6」

※二※ (代)
〔※一※(3)の転。 近世後期の上方語〕
三人称。 あいつ。

「~めもえらい癡呆(ヘゲタレ)めぢや/滑稽本・浮世風呂(前)」

~に後ろを見・せる
(敵に背中を見せて逃げることから)
(1)おじけづいて逃げる。
(2)敵に弱味を見せる。
~に糧(カテ)
意図に反して, 相手に利益をもたらす結果になることにいう。
~に塩を送る
敵が苦しんでいる時に, かえってその苦境を救う。
〔上杉謙信が, 今川・北条の塩止めで苦しんでいる武田信玄に塩を送ったという逸話から〕
~は本能寺(ホンノウジ)にあり
〔備中の毛利攻めと称して出陣した明智光秀が京都本能寺の織田信長を襲ったことから〕
本当の目的が別のところにあること。
~を見て矢を矧(ハ)ぐ
〔「矢を矧(ハ)ぐ」は, 矢に矢羽をつけること〕
事が起こってからあわてて準備にとりかかる。 後手(ゴテ)にまわることのたとえ。 どろなわ。
III
てき【滴】
助数詞。 数を表す漢語に付いて液体のしたたりの数を数えるのに用いる。

「数~の露」

IV
てき【狄】
中国古代, 北方の異民族。 北狄。
V
てき【的】
(1)名詞およびそれに準ずる語に付いて, 形容動詞の語幹をつくる。 (ア)主に物や人を表す名詞に付いて, それそのものではないが, それに似た性質をもっていることを表す。 …のよう。 …ふう。

「百科事典~な知識」「スーパーマン~な働き」「母親~な存在」(イ)主に抽象的な事柄を表す漢語に付いて, その状態にあることを表す。 「印象~な光景」「積極~に行動する」「定期~な検診」(ウ)物事の分野・方面などを表す漢語に付いて, その観点や側面から見て, という意を表す。 上(ジヨウ)。 「学問~に間違っている」「事務~な配慮」

〔(ア)~(イ)は, もと中国, 宋・元の俗語で「の」の意味を表す助辞であったものを, 明治以降, 英語のtic を有する形容詞の訳語に用いたことに始まる〕
(2)人の名前・行為・職業などを表す語, またはその一部に付いて, それに対する軽蔑や親しみの気持ちを表す。

「泥~(=泥棒)」「取~(=ゴク下位ノ相撲取リ)」「正(マサ)~(=正雄・正子ナド)」

〔中国の俗語にあったのをまねたもの〕
VI
てき【翟】
キジの尾羽。 また, 中国の舞楽で, 舞人が右手に持つキジの尾羽。
VII
てき【趯】
永字八法(エイジハツポウ)の第四筆の撥(ハ)ね。

Japanese explanatory dictionaries. 2013.

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